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湿度が気球の浮力に及ぼす影響の考察

随分久しぶりの投稿ですが、生きてます(笑)


気球の浮力計算において、通常使われるロードチャートでは乾燥空気とモデル大気を基本として行うのが通例だ。これは欧米の気球の世界でもほぼ同じなのだが、日本独特とも言える高湿度高温でのフライトの場合湿度を計算に入れるべきではないだろうかと以前から思っていた。

実際のフライトでは正確な温度計を取り付けていればその誤差は即座にパイロットは認識できるが、温度計を取り付けてなかったり、温度ヒューズなどに依存している事例も多く、このあたりは一度考えてみたほうがいいのではと、以前から思っていた。

人間の感覚では湿度が高いとモワッとして空気が重く感じるが、物理的には水の分子のほうが酸素や窒素よりも軽く、湿度が高いほど空気密度が小さくなる。同じ気温なら、湿度が高いと標高が上がったのと同じことが起こる。気温が低い時より、より多くの水分子を内包できる高温の時ほどその湿度に因る影響が大きくなる。


夏場の渡良瀬などは机上計算のロードチャート以上に球皮内温度が上がることが時々ある。この原因の大きな要因が湿度の高さに起因している。正確な温度計とロード計算をしていないと、ちょっと重いかなぁと思うぐらいで終わってしまうが。


夏場は、外気温の高さ、湿度の高さの両面から空気密度が小さくなり、気球にとっては冬場に比べて、浮力が得にくい上、温度を上げることにより球皮へのダメージも大きくなりやすい。まったくアバウトな話だが、湿度が高い夏場は、温度に換算して2~3度ぶんは湿度に寄る影響を受けていると考えて飛ぶべきだと思う。このような微妙な変化や影響は机上のロード計算では得にくく、正確な温度計に寄る離陸時の温度管理によって把握するしか無い。自分の場合離陸時浮いた時の球皮内温度をチェックするのが離陸時のシーケンスになっている。
by airspace_balloon | 2016-06-15 21:10 | 気球技術系
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