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なんで・・・

彼はいつも温厚な雰囲気を絶やさなかった。優しい人柄から最近は学生のトレーニングを頼まれることが多かった。学生たちの無理なスケジュールにも気持ちよく答えていた。
色々思い出すことはある。まだ私は、なんで?と言う部分から抜け出せないで居る。
奥さんやお子さんの「なんで?」という気持ちも察してあまりある。

なんでなんだ?沖野さん・・言葉が見つからない・・
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by airspace_balloon | 2007-06-26 23:57 | 気球一般

千鳥という縫い方

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エアロスターが製造停止したことに伴い、新たに取り扱うメーカーの機体が使用している縫製方法が千鳥、いわゆるジグザグ縫製だ。

この縫製方法は縫い目あたりの強度は直線縫いより高く、引っ張られても柔軟に伸び糸切れや糸の張りによる素材の破損などが起きにくいために多くのスポーツ用品などに使用されている。ヨットのセールの縫製は千鳥で行われるのが常識となっている。またフレキシビリティーが要求されるウエットスーツなどの縫製もこの方法で行われる。

気球に目を向けると、ほとんどのメーカーが直線縫いを使用しているなか、ファイアーフライのみが多くの箇所にこの縫製方法を採用している。エアロスターもかつて部分的に使用していたので、古い機体の一部にジグザグ縫製が使われていた。

メーカーは多くの縫製パターンを使用することにより、専用ミシンを何台も使用しなければならなくなり、同じ縫製方法を採用して設計される方向に推移しているようにも思える。

今まで取り扱っていたエアロスターに適合するミシンを用意してきたのだが、今後はこのジグザグ縫製の機体の修理に対応すべく新たに厚物対応のジグザグ工業ミシンを導入した。以前エアロスターの一部の縫製に対応すべくジグザグミシンを所有していたのだが、使用頻度が低く廃棄してしまった経緯があり、今となっては惜しまれるのだがしょうがない・・今回導入したのはアイシン精機製の厚物対応で、導入後様々な縫製にどの様に対応させるか色々テストを繰り返している。

工業ミシンも4台あるので、勘所はすぐにつかめたのだが、直線縫いに比べて調整はやはり微妙なところがある。縫う対象や、縫い糸などにより、直線縫い以上に微調整が必要なことを改めて感じる。縫製工場のように同じ素材で連続して縫製するのに比べ、気球の修理では様々なシチエーションでの縫製があり、そのたびに微調整をしなければならないことを感じた。これら微妙な調整が出来てはじめて千鳥の縫製でしっかりした強度が出てくる事が余り多くのメーカーにこの縫製が使用されない理由なのかもしれないと思った。

論理的に優れている方法であってもクオリティー管理がよりシビアーであることが採用されにくい理由なのかもしれない。しかし、ちょっと考えてみると気球以上に遙かに多くの需要があるヨットセールの世界ではこの方法が常識的縫製方法であり、これによりキッチリとしたクオリティーが維持されていることを考えると、気球メーカーの考え方がいかに保守的であるかという現れなのかもしれない。

またヨットセールは気球に比べて遙かにシビアーな精度で縫製されている。1mmのズレでしわが入り、セーリング性能に影響するからなのだが。気球ではしわだらけの機体でも飛べてしまうぐらいのいい加減さが有るのだが・・・・

試しにこの縫製方法で自作機でも作ってみようかと・・・ふと思ってしまうのだが。
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by airspace_balloon | 2007-06-04 16:10 | 気球技術系

ハイテクファブリック考

気球には結構ハイテクファブリックと呼ばれる物が昔から使われている。

最もなじみ深いのが開口部周辺に使われる耐熱繊維ノーメックスではないだろうか、これは私が自作で熱気球を作り始めた頃すでに普通に使われていたが、コーネックスと呼ばれる国産のノメックスに近い国産の素材が使われることも多かった。
他にも、エアロスターが長年使ってきたカイノールという素材もある。この耐熱性はノメックスに勝り、仮に熱がかかっても大きく破けたりしない特殊繊維だ。繊維強度そのものがノメックスに比べて低く、染色が出来ないため内張として使用されてきた。

気球本体に使われるナイロンの素材そのものも変化している。特にエアロスターが最後まで使っていたソーラーマックスと呼ばれるデュポンのナイロン素材は耐紫外線、耐候性を非常に高めた素材で、他社の追従を許さない。またその織り方もダイヤモンドウイーブと呼ばれる今までのリップストップにはない高い耐引き裂き強度を有するものだった。結局、この素材を使用するようになってからエアロスター社は徐々に販売不振に陥っていった・・・なぜか・・・それは今までも他社より高い耐久性を持っていた気球が更に高い耐久性を有することになり、とても長く使えるようになり、老朽化による更新が行われない状況が発生した。結果エアロスターは製造をやめることになるのだが。なんだか皮肉な話でもある。

リップライン、センタライジングラインなどに使われるコード類も変化している。昔はポリエステルのものがほとんどだったが、ケブラーの登場に伴い耐熱性、のびない特性などから80年代後半ぐらいからケブラーが多く使われるようになった。これに伴い、リップラインの調整が長期間不要になっていった。それ以前は使用に伴う伸びがある素材をセンタライジングなどに使用していたため、使用時間に伴い、リップラインの調整が必要だった。リップラインも耐熱性の高いケブラーを使用するようになっていった。

サスペンションケーブルは、長くステンレスワイヤーが使われていたが、80年代ケブラーが一般化するに伴い90年頃からケブラーのサスペンションケーブルが各社で使われはじめた。ケブラーは強度が高くキンクしにくく、耐熱性もかなりあるのでとても良い素材に思われた。特に電線接触の時、不導体であるケブラーはより安全であるとも考えられていたからだ。しかし、意外に普及しなかった。その原因はインフレ時にパイロットが不用意にケブラーラインをあぶってしまったりした場合、高い耐熱性を持っているケブラーとはいえ、ステンレスには及ばなかったのだ。これにより強度劣化を起こしたケブラーラインの破断などが起き、メーカーも標準仕様はステンに戻していったところも多い。現在でもオプションでケブラーラインを供給するメーカは多いが。

これからのハイテクファブリック

ノメックスも、ケブラーも80年代以前から有るデュポンの技術による製品で、長年使用され多くの実証データに基づいて使用されているが、90年代以降も様々なハイテクファブリックが市場に供給されている。残念ながら気球メーカーはこれら新しいファブリックの使用に余り積極的ではない。特にエンベロープ本体の素材に関してはエアロスターの轍を踏まないようにしているのか高耐久性には余り関心がないようにすら思える。しかし、いずれにしろいつかはハイテクファブリックが使用されていくのは間違いないと思われる。

たとえば、スペクトラやダイニーマという素材があるのだが、耐熱性が気球本体に使用するにはやや劣るため使われる事がないようだが、ケブラー以上の強度と耐候性を生かしバスケット部分や軽量のタンクベルトなどに使用する場があるかもしれない。これは釣りをする一なら知っているPEラインも同じ物だ。またベクトランという新しい素材も気球への応用が十分に考えられる素材と思われる。耐候性、耐熱性とも似高い。
ザイロンと呼ばれる繊維ももケブラーやノメックスの変わりとして十分にこれから可能性がある素材だろう。

またコーティング技術も目に見えにくい形で大きく進歩している。パフォーマンステキスタイルというアメリカの会社の高い技術は注目に値するものがあると思うのだが・・・

残念ながらこれらの技術的進歩は気球ユーザーには余り享受されていない。それはここしばらく続く世界的な気球界全般の不況の影響が大きい。製造数の減少、価格の上昇、製造メーカーの減少、フライトの難しい国が増えたり、様々な要因が悪いスパイラルを作っているように思える。いずれこれらがよいスパイラルになり、ハイテク素材を用いた新世代の気球が作られることを期待してやまないのだが。
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by airspace_balloon | 2007-06-01 09:39 | 気球技術系