千鳥という縫い方

c0038946_15474839.jpg

エアロスターが製造停止したことに伴い、新たに取り扱うメーカーの機体が使用している縫製方法が千鳥、いわゆるジグザグ縫製だ。

この縫製方法は縫い目あたりの強度は直線縫いより高く、引っ張られても柔軟に伸び糸切れや糸の張りによる素材の破損などが起きにくいために多くのスポーツ用品などに使用されている。ヨットのセールの縫製は千鳥で行われるのが常識となっている。またフレキシビリティーが要求されるウエットスーツなどの縫製もこの方法で行われる。

気球に目を向けると、ほとんどのメーカーが直線縫いを使用しているなか、ファイアーフライのみが多くの箇所にこの縫製方法を採用している。エアロスターもかつて部分的に使用していたので、古い機体の一部にジグザグ縫製が使われていた。

メーカーは多くの縫製パターンを使用することにより、専用ミシンを何台も使用しなければならなくなり、同じ縫製方法を採用して設計される方向に推移しているようにも思える。

今まで取り扱っていたエアロスターに適合するミシンを用意してきたのだが、今後はこのジグザグ縫製の機体の修理に対応すべく新たに厚物対応のジグザグ工業ミシンを導入した。以前エアロスターの一部の縫製に対応すべくジグザグミシンを所有していたのだが、使用頻度が低く廃棄してしまった経緯があり、今となっては惜しまれるのだがしょうがない・・今回導入したのはアイシン精機製の厚物対応で、導入後様々な縫製にどの様に対応させるか色々テストを繰り返している。

工業ミシンも4台あるので、勘所はすぐにつかめたのだが、直線縫いに比べて調整はやはり微妙なところがある。縫う対象や、縫い糸などにより、直線縫い以上に微調整が必要なことを改めて感じる。縫製工場のように同じ素材で連続して縫製するのに比べ、気球の修理では様々なシチエーションでの縫製があり、そのたびに微調整をしなければならないことを感じた。これら微妙な調整が出来てはじめて千鳥の縫製でしっかりした強度が出てくる事が余り多くのメーカーにこの縫製が使用されない理由なのかもしれないと思った。

論理的に優れている方法であってもクオリティー管理がよりシビアーであることが採用されにくい理由なのかもしれない。しかし、ちょっと考えてみると気球以上に遙かに多くの需要があるヨットセールの世界ではこの方法が常識的縫製方法であり、これによりキッチリとしたクオリティーが維持されていることを考えると、気球メーカーの考え方がいかに保守的であるかという現れなのかもしれない。

またヨットセールは気球に比べて遙かにシビアーな精度で縫製されている。1mmのズレでしわが入り、セーリング性能に影響するからなのだが。気球ではしわだらけの機体でも飛べてしまうぐらいのいい加減さが有るのだが・・・・

試しにこの縫製方法で自作機でも作ってみようかと・・・ふと思ってしまうのだが。
[PR]
by airspace_balloon | 2007-06-04 16:10 | 気球技術系
<< なんで・・・ ハイテクファブリック考 >>