球皮修理に関する警鐘

先日、修理依頼を受けたエアロスターの球皮がありました。修理依頼は開口部のパネルに焼損がありその補修の依頼だったのですが、その補修箇所以外に、開口部周辺に多数の小さな焼けた穴をリペアテープで塞いだ場所があり、とても驚いたのです。

なぜ驚いたのか。

熱気球の基本設計の重要な部分に自己消火性のある素材を開口部のバーナー炎が届く場所には使用するのが大原則だからです。開口部から3~5mぐらいまでの場所は、バーナーの炎に直接あぶられる可能性があります。その場所に使用する素材は、たとえバーナーの炎にあぶられても、燃え上がることなく、解けたり炭化したりするだけで終わる必要があります。

通常、気球に使用されている素材、ナイロン、ポリエステル、そして、ノーメックスなどのアラミド繊維などはこの特性があります。ナイロンでもシリコンコーティングの物は自己消火性が低いので、開口部周辺には使用しないのが大原則になっています。

その意味でリペアテープは、その接着面の素材が燃え上がる可能性があり、絶対開口部周辺の補修には使用してはいけない素材です。同様に、ガムテープなどはさらに着火しやすく、大変危険です。ノーメックスの部分の修理に似たような感触の防炎加工の綿を使用して燃え上がったなどという事例すらあります。防炎加工されていてもある限界を超えると簡単に燃え上がります。

その意味で、上記の機体は、開口部のロードテープ周辺にリペアテープを貼り重ねてあり、万が一着火した場合、ロードテープを焼き切ってしまう可能性すらありました。

また、リペアテープの接着素材は、熱劣化を起こし、強度も補修に十分な強度を保てないので、縫製無しに開口部以外の補修として使用するのにも無理があります。必ず縫製によって補修される必要があります。開口部以外の小さなピンホールの応急的補修以外には使用できない素材だという認識を持つべきです。

アメリカのリペアステーションなどでは、補修には絶対にリペアテープだけを使用しません。その方法では、耐空性維持のための検査を通らないからです。リペアテープを貼り、その上から縫製するような修理はしますが。

リペアテープのような素材を気球に全く使用しないわけではありません。アートワークや、登録ナンバーなどの部分などで、開口部周辺ではない部分には使用している場合もありますが、強度をそれにより持たせるような使い方はしません。


日本気球連盟では、機材の管理は、所有者の責任で行われることになっています。話題にした機体のような危険な方法で補修されていてもそれをチェックする機会は実際の所ありません。最終的には各パイロットが機材についてより深く知ること以外、このような問題点を見つけることはできないわけです。パイロットはアメリカなどより、より深く機材に対する知識を持つ必要があるということでもあります。

なお、自己消火性のない素材を開口部周辺に使用して、事故になった事例が国内でもありますし、海外では死亡事故の事例もあります。

リペアテープという素材、気球でリペアに使用する物ではないというぐらいの認識を持つべきだと思います。
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by airspace_balloon | 2010-09-05 23:36 | 気球技術系
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